自然体研究会の会員の方なら、先日よりMLで話題になっているのでご承知の方も多いだろうが、当ブログだけをご覧頂いている方のために。
MLの中で、自然体バレー塾の“ブーメラン投法”について話題があがった。草野塾頭の解説の中で、“ブーメラン投法”の始まりの姿勢、すなわち肩のニュートラルポジションについても語られた。
ニュートラルポジション=「楽な姿勢」と解釈されそうだが、さにあらず。また「脱力したリラックスした状態」と捉える考え方もあるかもしれない。ニュートラルポジションとは、スポーツパフォーマンスにおける最も動き始めやすく、瞬時に働いて欲しい筋肉にスイッチが入りやすい姿勢でもある。
では、具体的に肩の場合はどうか。普段リラックスしている場合、肩から肘の部分、すなわち上腕部と呼ばれるところが外側に向く、外旋位をとる。上腕部を軽く捻った状態にすると、肩の関節にすっぽりはまったバランスの良い状態をつくることができる。このことによって、腹筋が働きやすく、体幹をバランスよく使えるようになるのである。
逆に、上腕部を外旋させて、肘脇を強く締めると、背中の筋群が緊張して、力の連鎖ブロックをされてしまう。
ゴリラポーズをご存知だろうか。自然体バレーにおけるプレー前の“構えの姿勢”である。色々なポイントがあるのだが、肩に関するところに限ると、上腕部を軽く内旋し、肘を90度ぐらいに屈曲、手首をだらりと垂れ、特に親指の力をぬくことで、次の瞬時の動きに対応できる。この肩がニュートラルポジションをとっているのである。
話は元へ戻り、上腕を内旋することで、もうひとつ大切なポイントがあらわれる。腹筋が使われやすくなると、わき腹にある前鋸筋と呼ばれる筋肉が働きだす。この筋肉は肩甲骨ともリンクしており、バレーボールのスパイクや、野球のピッチャーにとっても隠れた主役の筋肉でもある。
肩のニュートラルポジションを意識するだけで、パフォーマンスに大きな差があらわれる。だが実際の指導で「腕を上げろ!肘を高く!」では、「なぜそうするの」が抜け落ちているわけであるから、説得力にも欠けるに違いない。やはり自然体に勝るものなし。