週末は東京へ出張。その往復、新幹線の中での読書タイムは至福の時間。
今回、『デクステリティ~巧みさとその発展~』を読み返した。今回で4度目となる。330ページの長編のためまとまった時間が欲しかったので、新幹線の中の読書は絶好の機会である。改めて読み直してみて、やはり新しい発見がたくさんあった。
例えば「彼は巧みに1000メートルを走りぬきました!」とか「彼女は巧みに長距離を泳ぎました。」などの言い回しはしないと書かれている。短距離走者や水泳の長距離選手は、からだ全体の協応、つまり「動作の調和」は必要だろうが、これらの競技に“巧みさ”は当てはまらないと伝えている。
では巧みさとは・・・あらゆる状況並びにあらゆる条件下において、解決策となる運動を見つけること・・・と示している。
また巧みさが必要になるかどうかは、動作の種類によって決まるのではなく、動作を取り囲む条件によって決まるとも述べている。
力強さ・スピード・持久力は、心理的物理学の能力。巧みさとは制御の機能であり、その実現には中枢神経系が最大の役割を果たす。
巧みさは他の能力に比べて、より柔軟でより汎用的である。巧みさは世界共通の通貨のようなものだ。トランプで言えば、切り札のジョーカーといったところだろう。・・・このようなカードが使える能力を目指したい。
この本の中には、チベットに伝わる寓話も引用されており、楽しく読める。このような内容が旧ソ連の1940年代に書かれたことを考えても、当時のスポーツ先進国だったことがうかがい知れる。そして現在でも決して古くさいないようではなく、むしろ現在の北米スタイルのトレーニングを上手くミックスさせることで、よりレベルの高い能力がつくことは疑いのないような気がする。
何回かに分けて本の内容をお伝えしたい。