五條東の2日間の強化練習。平日ということもあり、仕事の合間に顔を出し様子を見させてもらった。“強化練習”と言えば、実戦形式でガンガン練習するイメージだが、さにあらず。
中心はやはり“個人のスキルアップ”。トレーニングからスキル向上につながるメニュー、そして2人1組或いは3人1組のパス・トス・レシーブや空中での動きの獲得の練習と続く。この風景はいつも100人200人と集まる自然体バレー塾とほとんど同じだろう。確かに対象者が中高生と人数も50人弱であるため、その精度の向上には塾頭の目がきっちりと注がれている。
2日目の午後から練習セットや、塾頭自らコートに入りボール出しを行う。さすがにこの時の緊張感に保護者も観衆している体育館が何とも言えない空気に包まれる。5分10分とボールを追う選手達に的確な指示を出す。しかしその指示は“バレー界特有の叱咤激励”ではなく、あくまで指導指示コーチングである。時間が経つにつれ、選手たちの動きが変わり、本当に川の流れのように感じる。
この練習を見ていてフッと感じた。自然体バレー塾に参加する指導者、特に初参加や予備知識のない方はこのような練習を期待するのだろう。しかし小学1年生からたとえ高校生・大学生でも同じ練習メニューをこなす、自然体バレー塾のごくありふれた練習風景に、実践につながっていく内容がつまっているのである。
きっと塾頭はボール出しをしながら、“お前にはこのドリル、こいつはあのドリル”と、ボールに無言のメッセージをのせているのではないだろうか。そして芸術的なラインぎりぎりへボールを出し、選手を走り回らせる練習は、言葉が適当ではないかもしれないが“操っている”ようでもあり、“美しさ”を感じるほどである。そしてこのような練習にいたるまでのプロセス、個人のスキルアップなしには決して機能しない。6人のチーム練習だと改めて感じる事ができた2日間になった。目に見えている激しい練習の裏に隠れている数え切れないぐらいあるだろう多くのスキル。それは毎回の自然体バレー塾でしっかり学びとらなければならない。1滴の湧き水がせせらぎになり、川の支流となり河となり海に流れ出していく、本当に大自然の現象そのもののよう。
塾頭が帰り際に言われた。「自然体理論なんてないよ!自然体、普通に自然体!」印象に残った。