からだについて少し調べるために、寒川恒夫氏の「近代日本を創った身体」を拝読していたところ、近代柔道の創始者、嘉納治五郎が「自然体」の言葉を『柔道雑記』に示していることを知った。
古いところでは世阿弥の「風姿花伝」や宮本武蔵の「五輪書」なども、日本人の身体について著されてはいるが、直接的に「自然体」の言葉は使用されていない。よって明治初期の柔術から柔道への理論構築をするために、嘉納治五郎が初めて公式に使ったものと推測。
その上、身体の使い方を物理学の理論を持って欧米列国の専門家相手に堂々と講演。今風にいえば“プレゼン”している記録が。135年前には物理学による「自然体」を主とした柔道を、当時欧米人にとっては野蛮とされていた柔術を柔道としてある種の身体技能、しいてはスポーツへと、当時としては珍しい英語でプレゼンされている模様。
「自然体」まさに自然の原理原則に則る動き。バレーボールも柔道も、身体が使われることには変わりなく、今も昔も不変の原則。