日本人の味覚の特徴のひとつが”うま味”。福岡伸一氏の動的平衡によると、薄めのこんぶだし、人さじすくって味見をしてもちょっと頼りない。別のかつおだし、こちらをなめてみるとやっぱり少々物足りない。しかし二つのだしを等量混ぜ併せて試してみると、がぜんうま味が引き立ってくる。これをシナージズム=相乗効果と呼ぶとのこと。こんぶだしのグルタミン酸とかつおだしのイノシン酸が、舌の上のうま味レセプターに見事はまりこむとうまみを感知。どちらか一方だと、うまくはまっても強く感じられないそうで、両者がピタッととらえられると、強い反応が起こるらしい。日本酒(グルタミン酸)とタラコ(イノシン酸)のように、お酒と料理の相性にもこの相乗効果が隠れているようす。相乗効果が起こればこれに越したことはないが、あまり嬉しくない、相殺効果も起こりうるのがヒトの体内の動的平衡。