過日から紹介している森信三氏。小学校への勤務は若い頃のわずか2年足らずだったとか。その間に小学生への接し方の核心を見抜き、教員の卵達にそれはそれはきめ細かく伝えているのが「修身教授録」であり「理想の小学教師像」
「修身教授録」の講義「教育者の道」より抜粋
とくに小学校では、何分にも生徒がまだ幼いですから、なるほど一面からは、子どもたちはよく先生になつくとも言えましょう。が、同時にまた相手が幼少なために、その自覚は不十分ですから、小学教育が真に徹底するためには、教師が直接子どもたちから親しまれるだけでなくて、さらに父兄たちからも心から信頼を受けるようでなければ、教育の真の効果は期しいがたいとも言えましょう。
同時にこの一点に思い至るならば、何人といえども、小学教師たることのいかに容易でないかを思い知らされることでしょう。それというのも、父兄たちの社会的階層は千差万別であって、それらの人々から安んじてわが子の教育を託するに足る人物だ、と信頼されるということが、いかに容易なことでないかはお分かりでしょう。