暴力暴言の一件から、スポーツ界の多方面より指導技術の見直しの気運が高まり、指導技術向上のため実際に動き始めた競技団体の報道もなされている。
指導者が言ったことを選手が上手く理解できず、行動できず、イライラが募り、その行く末が暴力暴言になることも少なからずあろう。そこに両者の上級なコミュニケーションはあらず、上意下達が今までのスポーツ界だったのでは。
バレーボール以外にもうひとつのライフワークとして関わらせてもらっている「スペシャルオリンピックス」。知的発達障害者のスポーツプログラムだが、この組織では『コーチクリニック』と称する、コーチ資格を得るためのプログラムがあるのだが、大変参考になる。
スペシャルオリンピックスでは、アスリートと呼ばれる知的発達障害者達に、それはそれは根気よくコーチングを行う。そのベテランコーチにもなると、理解力、行動力、コミュニケーション能力が健常者に比べて問題があり、また強い思い込みやこだわりのある個性豊かなアスリートひとりひとりに、彼ら彼女らに合ったコーチングを行う。当然、優しいばかりではなく、時には厳しく、また時には突き離したり、それでいてフォローに褒めてあげたりと、自然な引き出しが幾ほどあるかと思えるほど。そのコーチング現場に、暴力暴言などは一切なし。一見の価値あり。