自分自身にめがけて飛んでくる物体(主に球技でのボールだが)が顔面に近づいてくれば、危険を察知し反射的に手の平を自分とは反対側、すなわち外側に向けて防御行動に出る。ほとんど手首が背屈の状態、すなわち力が入る。
上から落下してくる物体(こちらも球技でのボールだが)、早くボールに触れたいがためだろうが、やはり手首が背屈、力で受け止める。
ロシアの生理学者ベルンシュタインは、手首の自由度が大きいことをその著書で詳しく説明している。体幹部がどんな姿勢をとっていても、物体に手で触れたい欲求は、手首の自由度を酷使してでも達成しようと試みる。そんな反復動作が脳に刻まれ、ペンフィールドの地図と呼ばれるように、脳の中で手の占める割合が非常に広い。生後直後からの脳の発達に深い関わりを持っていることがわかる。
一方、投球動作のようなムチのしなりを伴う動きは、後天的に獲得する代表的なものと推測。非常にリラックスした状態から、下肢からの回旋を伴う連鎖運動は、本来四足動物の動きとして、人間の脳にも備わっていると思うのだが、子供の頃からゲームやPC、携帯など座ったままで遊べる生活環境は、ますます体性感覚の鈍い手首や胴体に発達させ、ただ単に力を入れることばかりの信号が多くなる。その結果の背屈。