海の向こうで、イチローが今年も順調と伝わってきている。日本では“振り子打法”でブレイクし、その後の活躍はご存知の通り。大リーガーとなった途端にオーソドックスな打撃フォームに戻ったが、元々運動学的な脊柱・骨盤そして股関節における“正しいモーション”だったため、イチローにとっては難なくフォームの修正は可能だったはず。その後もマイナーチェンジの“フォーム”改造はあったとしても、「正しい」身体のモーションは一貫して同じだからこそ、30代後半となった今年も大きなケガもなく当然のようにみんなの期待以上のものを見せつけてくれる。
バレーボール界の至宝と叫ばれ、世界のエースと期待されながら、強い腰痛のため9カ月前に引退してしまったカナ。女性選手としては類まれな体格とパワーで、国内無敵を誇ったが、パワフルなスパイクフォームと呼ぶよりも、脊柱・骨盤そして股関節に負担の多い無理なモーションがために、小さい頃から無理使いモーションの蓄積されたものと推測する。
腰の手術後もリハビリと並行に、身体の運動学による“正しいモーション”の回復に取り組み、見た目のスパイクフォームの改造に取り組んだとの便りは聞こえはしたが、すでに脳に記憶されたモーションを短期間で脳内の組み換えを起こし、からだで表現するところまでには至らなかった模様。間違ったモーションのこわさがここにある。
見た目のフォームに惑わされるか、正しい身体メカニズムによるモーションを重視するか。イチローとカナが語ってくれている。だからこそ健気にプレーする小学校低学年選手を、故障に陥らないよう、フォームとモーションを見誤らないようにせねば。