去年より今年、今年より来年、春より夏、夏より秋、そして秋より冬、上達してほしいと願うのは指導者なら持っている素直な感情。垂直成長だ。心身とも成長著しい小中学生にとって、それだけでは少々バランスが悪くならないか。
この時期行われる体育祭に運動会。秋祭りに地域のイベント。秋の深まりとともに文化祭、視点を変えれば映画やミュージカルのような舞台も連日開催されている。全生徒が盛り上がる学校行事に加え、隣近所のおっちゃん、おばちゃん達との交流。ストーリーに涙し感動する様々な経験は、垂平成長と呼べそう。広さと深さの成長が掛け合わさってこそ、人格形成の礎では。
ついつい指導者論理の垂直成長だけに力が入ってはいないか。“急がば回れ”。少しぐらいの練習量を削っても、垂平成長を加えることで、試合中、本当に苦しい局面での気の利いたひとことや、ビッグプレーで助けてくる選手になってくれるものと信じたい。