先の北京オリンピック。個人的に興味を持っていた競技が、このシンクロ。
日本では女性指導者として名声を高めた、井村雅代女史。日本代表コーチを勇退後、中国代表チームの監督に就任され、その手腕に注目が集まった。結果は記憶に新しく、中国にとってはシンクロ界初のメダル獲得となった。
そんな彼女の、日本代表コーチ時代の語録を見つけたので紹介する。
昔々、絶対合わしたろうと思うて、気配から合わせたんですよ。~中略~そしたら瞬きした選手は誰もいなかった。写真を撮った時も全部合ってた。それぐらいシンクロナイゼーションした演技をしたんです。でも試合でやってくれた時、私の中に隙間風みたいなのが通ったんです。
その頃、アルヴィンエイリー舞踊劇団というのを見たら、その人たちは全然あってないのに、無茶苦茶感動したんですよ。~中略~自分の選手の気配まで合わした演技を見たときに、「これ、どっかで見たことある演技や」って思ったら、北朝鮮のマスゲームやったの。別にこの8人でなくてもいいんや。私って、この子らの人間性をつぶしたって思ったんですよ。
実はこの本のタイトルが、『スポーツと感性』である。一流の指導者として、専門のスポーツからでなく、他社の種目や舞踊からでも“アッ”とひらめく感性の大切さを強調している。
小学生のバレーボールにも見られる、決まった硬い動きやパターン化された身体運動では、いつか限界がくると思うのだが、何か違うと思う「感性」の欠如。大きな差となって子供たちに襲い掛かる。