オニツカタイガーと聞いてパッとわかる人は、たぶん40も半ばを過ぎた人が多いだろう。今では誰もが知っている“アシックス”である。その創始者が鬼塚喜八郎氏。
戦後、神戸に居をかまえ、靴職人としてスタートし、これからはスポーツの時代が来る、そしてシューズにも注目が集まることを早くから見つけ出し、数々のヒット作品を世に送り出した。
現在では、スポーツ用品を一般に扱う会社として成長しているが、その中でもシューズに限ってはトップシェアを誇っている。特にマラソン選手のシューズはメダリスト達に絶大な信頼を受け、あのイチローのスパイクもアシックス社製はつとに有名である。
バレーボールでもユニフォームをはじめ、体育館の中でも滑りにくく、なおかつ型崩れしないシューズは評判が高い。もちろんティンカーベルズの選手たちもアシックス社製のシューズである。
ビジネスとしても、今風に言えばベンチャービジネスの草分け的な人物として、世界に誇れるスポーツブランドを確立された。今の豊かな時代に、スポーツの陰の主役となり、好プレーや好記録の演出をされてきた。
日本の戦後の成長を支えてこられた偉大な人を、またひとり失ったような気がした。ご冥福をお祈り致します。