世界陸上選手権400m障害銅メダリスト 為末大氏のコメントから。
『最近はようやく筋肉をコントロールできる感覚が出てきた。筋肉を自由に動かせるという意味ではなく、筋肉がつく場所を自由に選べるという意味である。人間の四肢(腕や脚)はそれ自体が動くものではなく、中心である胴体に振り回されるものだという感覚が強くなった。腕や脚から生まれるエネルギーに比べ、体の中心部から生まれるエネルギーの方が圧倒的に大きいと感じたからだ。四肢は中心部で生まれたエネルギーを伝達する媒体に過ぎない。「うまい競技者」とは自力が強い人ではなく、エネルギーを四肢が相殺することなくうまく伝達できる人のことを言うのだと思う。四肢が必要以上に大きく太くなると、それを振り回すこと自体でエネルギーを大きくロスする。スピードも上がらなくなってしまう。そういう今までの経験から、人体に必要な筋肉は胴体の中心部にあるという結論に至った。・・・略』
陸上に限らずあらゆるアスリートが目指す身体の作り方のヒントがたくさんあるように思います。
よく選手から聞かれる質問にも、「パスを高く遠くに飛ばすために腕を強くしたいんです」とか「ジャンプ力を増すためには脚の筋力を強くすれば良いですか?」などなど・・・確かに最低限の筋力は必要でしょうが、着眼点が違えばパフォーマンスは上がらず、逆にケガにつながることになります。
体育館での大会中、周囲でボールを使ったウォーミングアップが出来ない場合、いまだに一生懸命指立て伏せや指の曲げ伸ばし100回なんかをやっている小中学生のチームを見かけます。なかなか身体のメカニズムの理解は難しいのでしょうね。
しかしトップアスリート達がこのように少しずつ身体に興味を持ち、気付きが始まると、「胴体を中心とした身体」「うまい競技者」の認識が変わるかも。
バレーボールの世界も早く指導者の変化も大切でしょうが、小学生からトップレベルのバレーボーラー達がこのような考え・認識を持つアスリートとして現れて欲しいものです。そのためにもあらゆる角度から色々なことを考える機会として“TEAM自然体研究会”の役割は大きくなりそう。