よく見かける手の形、動きはフロントの選手が目の前のコートに向けて、手の平を見せたり、バンザイに近いような腕を伸ばして今にもブロックに飛ぼうとしている姿勢を見かける。力の入った肩や腕の筋肉からスタートしても、本当の力はボールに伝わらない。「次に力が入るのは、今休んでいる筋肉だけ!」塾頭のよく使うフレーズ。
手の形も常にリラックスし、軽く握手をするように小指の屈曲角度が一番深く、薬指、中指、そして人差し指と、次第に軽い赤ちゃんのような屈曲角度に。肘の角度も胸の前において、約90度。手首の背屈はほとんどなしで、重力にまかせた軽度尺屈。バレーボールのあらゆるプレーのスタート位置がこれ。姿勢正しく椅子に座り、お茶碗と箸を持って、テーブルから少し浮かせた状態とほとんど一緒。どこにも力が入らずリラックスしており、されど美しさをかもし出す姿。バレーのプレーの始まりも、三度の食事も、毎回行う動作だからこそ、きちんと行えば周囲の雰囲気もガラリと変わる。
ボールが動き出すゲームになれば、そんなところの注意点はどこかにいってしまい、選手も指導者も視点が飛んでしまいがち。たかが“手の形”なのだが、次につながる、まずは“手”始め。強くなっていく入口はここから。この後、まだまだ続く。