「鳴くよ(794年)うぐいす平安京」「いい国(1192年)つくろう鎌倉幕府」
昔こんな語呂合わせで年号と事柄を丸暗記した。ついついそんな記憶の仕方を、スポーツの運動スキル獲得にも使えると勘違いしていないか。
パブロフの条件反射は特に有名。犬にエサを与える時に同時にベルを鳴らすと、数か月もすればベルを鳴らすだけで犬はエサを与えられると思い、よだれを流し待ちわびる。“条件づけられた”反射と呼ばれる。
運動スキルは発達に時間がかかる。結果だけみれば、それは条件反射と似たようなものであるかのような印象を受ける。しかし動作を実際に何度も繰り返し行う必要があるのは、感覚調整の土台となる全ての感覚を実際に経験する必要があるからだということが解明されてきている。
「昨日同じ練習やったやろ!」は一夜漬けで記憶した年号のようにはいかない。ある文献によると、「あらゆる状況で問題に対する正しい解決策をすばやく身につけるために必要とされるもの」とスキルやパフォーマンスについて語っている。練習メニューだけを考えて、何時間も繰り返し正解を再現するだけの練習を敢行しているのではないことに気づかねば。
「トップレベル教室」も残り3回。数え上げれないほどのドリルをすでに積み重ねてきた。しかし運動スキルを脳のどこかに存在させるための刻印や痕跡を残す手法など、そこには全くない。「運動の公式」や「運動の決まり文句」も然りである。