高校生の派手なフライングレシーブも確かに力強く素晴らしいが、そこにはどうも、うまい!素晴らしい!美しい!の形容詞は向かない。気合い一声のハッスルプレーは確かに士気を鼓舞するが、ケガとも背中合わせ。ひどい場合は骨盤付近を何度も強打し、青黒く内出血させ骨膜炎を呈している選手が訪れてくれることもある。
動きづくりにつながる代表的なウォーミングアップの“姫座り・尻すべり・ローリング”を体育館いっぱいに遊び感覚で行うと、体験選手や入部間もない選手でもすべる、スベる。空気の乾燥しているこの季節は、床面のすべりも絶好調。助走一発、股関節・膝関節を内旋させ、軟らかい女の子特有の身体構造の姫座りは得意なもの。続いて、うまくからだを丸めて大殿筋を使っての尻すべり。上手な選手はゆうに1mは滑走。最後のローリングも決して飛び込みではなく腹ばいに滑り込み、からだの側面を上手に使ってすべりに変え、最後に反回転。
怖さ知らずの小学校低学年ほど飲み込みが早いのもこんなドリルの特徴かも。すっかり身につけてしまった高学年はボールを使ったドリルで、たぶん本人達も意識せずに姫座りや尻すべりを行いながら、ボールをキャッチしたりレシーブ体勢に入っていく。ゲーム形式の練習でも自然と滑り込むプレーが飛び出してくる。ケガを防ぐ身のこなしは、行き着くところ「うまい!」とい叫びたいプレーになっていくのだろう。
ベーシックドリルだが“巧みさ”を作りだす身のこなしは、そんなに力強く頑張らなくとも、床と友達になるだけで充分。