春から長男が専門学校に通い始め、授業で柔道を習っている。もちろん道着を着用し帯は真っ白、全くの初心者である。
たとえ小学校低学年でも大人であっても、柔道の習い始めは“受け身”から。畳の上に腰を曲げて前かがみになり、手の位置を決めてぐるっと回転する、前方受け身。またはしゃがんだ姿勢から後方におしりをつけて倒れていく、後方受け身。どちらも腕をうまく使って畳を叩きつける。腰や背中の一点に重力を受けることなく、前腕を使って畳を強く叩きつけ、重力を分散させることにつなげる。すなわち我が身を守り、ケガを予防するため。
黒帯の高位段者は攻撃的な投げ技はもちろん得意だろうが、受け身も格段にうまいため、長年の競技生活でも割合ケガも少なく、柔道一直線を送っておられる。
普段の稽古でも“受け身”から始めることは常。専門的ウォーミングアップにもなり、交感神経を興奮させ、筋温を上昇させ、心配機能をも準備させている。昔古来の武道の中にも、スポーツ医科学エッセンスが脈々と受け継がれている。
時折、骨盤、特に左右の腸骨陵のあたりを青紫に内出血させて来院してくれるバレーボール選手を見受ける。ボール目がけて“ファイト一発”フライングレシーブは士気を高める効果は抜群だろうが、いつもケガとは隣り合わせ。骨盤部分にタオルを挟み込みプロテクター代わりにしているが、何度も繰り返しているうちに骨膜骨折や剥離骨折につながってくる。
柔道の“受け身”までとは言わなくとも、「姫座り、尻すべり、ローリング」をもって、バレーボールの受け身技術も獲得せねば。