ブームの感はぬぐい去れないが、ここまで広く深く人気が出れば、ひとつのジャンルか。ブラックボックスのことだから、なおさら知的好奇心をくすぐられる。
脳科学者の池谷裕二氏は「何か新しいことを学ぼうとするとき、正しい方法を一気に学べるものではなく、様々な方法を試してみて、上手くいかなかった方法を消去し上手くいった方法だけを残して、次回から再現できるようになって、ようやく学習するというのが脳のしくみ」と語っている。
この話を知っているだけでも、かなりの謎の解決口が見つかってくる。小さい頃から色々なスポーツを行い、また誰にも怒られることのない楽しい遊びでからだをたくさん動かしておくことが、いざスパイク練習を行う時に脳に記憶されている動きの中で、スパイクに適応しない動きは消去され、最も近くて上手くいく動きを抽出させていると、仮説が立てられる。「これが正しいのだからこれをしなさい」といくら反復練習に暮れても上手くいかなかった、つまり失敗した脳の記憶、消去できるだけの運動メモリーがないのだから、思うように上達しない。何やら合点のいくところが多くつながってくる。
失敗ドリルとして、手袋をはめて床面を滑りやすくし、ボールが床に落ちる瞬間に、ボールの1m手前、50cm、そして5cm手前に腕から滑り込み、レシーブの失敗経験をさせるドリルなどは、レシーブをより早く上達させるための説明がついてくる。
本当に消去法でしか学べないのなら、回り道のようだが様々なことを試し、たくさん失敗して、まるで塗り絵をつぶしていくように、最後に正しいやり方が残るような学習が必要。