春の桜が、優雅なら 秋の菊は華麗か。桜は幼木を植林すれば後は、大自然に委ねるのに比べ、菊はその過程に大変興味を注がれる。近所の菊づくりの大ベテランの蘊蓄によると「菊づくり」は「土づくり」と語られる。その後も苗木から、水やり 夏場の日照時間まで手間暇かけてこそだとも。いくら素人目に大輪の花を咲かせたり、大作を作り上げても「やるだけやった、後悔なし!」などと思うことは一度もないと言い切る。「あの時の肥料の量をもう少し多めにしとけばよかったとか、あの花を残してこちらを、摘花すれば良かったとか」想うところが次々と出てくるそうな。そしてこうも続く 「満足し、後悔せぇ~へんようになったらあの世へ行く時よ」 と日焼けした顔をくちゃくちゃにした。その道数十年、言葉に重みがあった。